「長老。お教え下さい。萌えとは、何なのでしょうか?」
「うむ。良かろう。心して聞くが良い」そう言うと、長老は一呼吸ほど間を置いた。
「萌えとは……、猫耳じゃ!」
「そ、それは一体、どのような物なのでしょう?」若者がさらに問う。
「ミミズクを知っておろう。あれは、コスプレじゃ」
「何と、そうであったのですか!」若者がそう、はたと膝を打つ。
「フクロウの中でも、一番の目立ちたがり屋が選んだ道。それが、萌えの道じゃ」
「なるほど、流石は長老。感服致しました」若者はそう答えると、頭を深く垂れた。

 次の日。

「長老。やはり、まだ、わかりません。萌えとは、何なのでしょうか?」
「萌えとは……、ツンデレじゃ!」

 その村で、一番萌えに造詣の深い長老。故に、その知識が微妙に間違っている事を知る者はいなかった。